ライトアップした東京タワー、光をおとしたエンパイアステート・ビルディング

NY

東京タワーとスカイツリーがともにフランスのテロ事件へ哀悼の意を表し、トリコロールカラーにライトアップされたというニュースを目にした。

遅ればせながら、ではニューヨークはどう対応しているのかと思ったら、

意外にも世界各国の都市がライトアップしている中、

エンパイアステート、ワールドトレードセンタービルも照明を落としているというではないか。

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ワールドトレードセンターの方は、ビルの上部の尖塔をとリコーロールに灯してはいる。

しかし、ニューヨーカーにとってビルのライトアップといえば、エンパイアステートビルのことであり、

イベントがない普段の日も何かしらの色でライトアップされているのがデフォルトなのだ。

そんなエンパイアステートがよりによって、世界中のビルがライトアップした中で、

照明を落としたということに、なんともいえない感慨に襲われた。

これはアメリカ全体ということではなく、

西海岸のサンフランシスコなどでは、市庁舎をかなりビビッドなトリコロールでライトアップしている。

ややもすれば、必要以上に自粛しがちな傾向のある日本でも(反対意見もあるとはいえ)、

ライトアップに踏み切ったのに、世界有数の大都市、

それもまさに「同時多発テロ」の経験者に他ならないニューヨークが光を落としたというのは、何を意味するのだろうか。

それはまさしく、「経験者だから」ということなのではないかと思った。

もともと今回のライトアップの発端は、パリのシンボルであるエッフェル塔が消灯して、

各国のランドーマークの建物が、ではその代わりに、ということでライトアップしている、という意味合いもあると思う。

エッフェル塔とともに光を落としたエンパイアステート。

9.11から14年たち、跡地に建設されたフリーダムタワーもオープンして、

一つの節目をむかえたとはいえ、あれほど多くの人命が失われ、大きな被害を受けたのである。

それを言うなら、アフガニスタン、イラク、シリアなどの方がより多くの人が亡くなっているし、

被害も受けている、といった意見もよく耳にする。

ただ、日本で生まれ育ち、今現在ニューヨークに住む私にとって、

どうしてもイラクやシリアの戦地よりも、パリの方が自分が実感できる、切実な現実に属しているのだ。

今回、ライトアップをした都市…ロンドン、ストックホルム、東京、カナダのトロント、シドニー、ベルリンなど、

パリと同じようなライフスタイル、生活水準の都市が多いと思う。

それゆえ、そこに住む人は、パリで起こったことを決して、他人事とは思えないのだろう。

パリより先に、同時多発テロを経験したニューヨークは今回、

光をおとすことで、パリの犠牲を、そして14年前の自らの犠牲に哀悼を示したのだろう。

 

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