借金完済への道 (後編)

アメリカ事情

学費ローン以外の借金を返済した後、
実は、さてこれからどうしたものか、としばらく悩んだ。

いや、学費ローンをじゃあ、とっと返せばいいんじゃないの、
と言われるところかもしれない。

しかし私のは政府の学費ローンで、低金利で失業期間の支払い猶予を認めてくれるなど、
いろいろな有利な点があったのだ。

よくアメリカ人はみんな借金だらけ、みたいな話をきくが、
そんなアメリカ人と私とは決定的な違いがあった。

彼らには莫大な借金があったとしても、
家を持っていたり、株で投資してたり、公的年金の積み立てがあったりするのだ。

もちろん私はそんなもの一切合切なく、日本にだって何一つ残してきたものすらないのだ。

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私には2つの選択肢があった。

1、学費ローンを全力で返済していくか

2、学費ローンはそこそこ返済していき、貯蓄や公的年金の積み立てを増やしていくか

この2つのどちらにするか、当時は相当悩んだ。

ネットで調べてみると、私と同じように悩んでいる人がいて、
いろいろな人が、それぞれ違う意見を述べているので、ますます悩んでしまった。

いろいろな人の体験談を読んで気づいたのは、
みな私より高収入で、結婚していて家族持ちだったりするので、
あまり私の参考にならないな、ということだった。

どこかにいないのか、
お一人様で、低収入で私と同じ境遇だった人は…

そう思って探してみると、いたのだ!

彼女は私よりもだいぶ若く、また私よりも収入は少なかった。

しかし抱える学費ローンはほぼ同額の300万前後。

しかもその時点で、彼女は全額返済をすませていたのだ。

おおいにモチベーションを刺激され、彼女がやっているyoutubeの動画を
最初から遡って、全部見た。

借金返済のためにやっていること、月々の収支報告など、
彼女の学費ローンを返済していく過程を実況中継していて、
「一か月一万円生活」のような企画が昔から好きだった私には、
めちゃくちゃ響いた。

そして、よし、私もまずは学費ローンの完済を目指そう、と決意することになったのだ。

借金を返済したり、貯金するには基本的に2つのことをすればいいのだ。

支出を減らし、

収入を増やす。

そうして増えたお金を返済にまわしていくのだ。

支出を減らす、に関しては、
ニューオーリンズに越してからは、あまり人付き合いもなく、
出かけたり、外出したりすることもなかった。

なので、特に減らせるところもなく、
そうなると収入を増やす…これは私の場合は労働時間を増やす、
以外に方法はなかった。

幸い、というか当時私が働いていたフロアは万年の人手不足で、
常に勤務日以外に働ける看護師を募集していた。

勤務日以外に働くと残業代もつくし、
さらには月に4日、余計に働くとボーナスももらえるのだった。

こう書くといいことずくめのように聞こえるが、
人手が足りないというのは、それなりの理由があってのことなのだ。

ブラックな職場が私を呼ぶのが、私がブラックな職場を呼ぶのかの、
どちらかはわからない。

ニューオーリンズの職場の環境はきつく、理不尽なこと尽くめだった。

そこで週4日、実質14時間勤務をするのは本当に辛く、
心身に与えたダメージは強烈だった。

とはいえ、勤務日以外に働くことで月、20万円ぐらいを上乗せすることができ、
それを学費ローンの返済にあてることにした。

1年で完済する、という目標を当初たてていたが、
実際に始めると、月々減っていく残高を見るのが楽しく、
できる限り多く、返済をするようになっていた。

さらに、予想以上に確定申告で税金の控除が戻ってくるなどということもあって、
実際は3か月予定よりも早い、9か月で学費ローンを全額完済できたのだった。

もちろん、とても嬉しかったのだが、
とにかく無理をしたのがたたって、心身が限界に来ていた。

なので、ああ、これで週4日働かなくてもいいんだな、と安堵した方が大きかったもしれない。

とにかく、死ぬまで返済できないかもしれない借金を完済できて、本当に嬉しかった。

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