今ひとたびの就活 (後編)

アメリカ看護師関連

7月になり失業して、収入の道が途絶えたわけだが、転職の見通しはたっていなかった。

手あたり次第に応募していたので、その頃にもなると、新しい求人が出ない限りは、

応募する案件もほぼ、出し尽くしていた。

何十件という求人に応募していたものの、辛うじて返事が来たのは、そのうちの一割にも満たなかったと思う。

地元のモンタナの別の病院には、早々に面接に呼ばれたものの、これまたあっという間に華々しく散ったのだった。

手詰まり…という感じだったが、

この時の私には、実は3つの手駒があったのだ。

1つはノースダコタの病院。

2つ目はネブラスカの病院。

そして、3つ目はサウスダコタの病院だった。

3つとも、一次の書類検査は受かり、面接待ちか、または一次面接はすでに終わっていたような状態だった。

応募しても返事すら来ない、一次面接で落ちる、といったことが当たり前というこれまでの状態からしたら、

3つも進行中の案件があるということは、かなりうまく行っている状況であるはずだった。

しかし、実感として、面接の手応えもあまり感じられず、自分としては、ただじらされているかのような感じだった。

実際、この時期は相手側が、夏の休暇を変わりばんこにとっているような状態で、人事の担当は働いているものの、

実際に面接を行う現場主任が休暇中だったり、その逆のケースもあったりして、

休暇明けにならない限り、話が全く進まないというようなことになっていたのだ。

そんなわけで、じりじり暑い日差しが照り付けるアパートの部屋にただ引き込もり、

私の気持ちもこうして、じりじりとじらされながら、これらの病院からの連絡が来るのをひたすら待っていた。

 

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カタツムリのように遅い展開だったが、そうこうしているうちに、一次面接を受けるのを1週間半待っていたノースダコタの病院と

電話面接をし、散った。

ネブラスカの病院は、一次面接を受けた後、音沙汰がなかった。

しかしこの病院の案件は人材紹介会社が絡んでいたため、少なくとも、落とされたのかどうかは確認できるのだ。

一次面接から2週間たった後、何も連絡がなく、もうこれはだめだろうだな、と思いつつ、担当のリクルターに連絡した。

すると、彼女が担当している他の応募者たちも、同じ状態で待ちぼうけをくわされているということで、

もう少し、我慢してくれと告げられる。

そんな中、三番手のサウスダコタの病院は、この2つの病院に比べれば、比較的スムーズに進んだ。

応募した2日後に、電話面接を受けることができ、それに合格して、2次面接を病院で受けることになった。

隣の州だったので、片道5時間運転して行ってきた。

その甲斐あって内定をもらえたのだが、同じようなタイミングで、音沙汰がなかったネブラスカの病院から連絡がきたのだ。

2次面接の日程を設定したいという。

もうこの病院のことは、ほとんどあきらめていたので意外だったが、3日後に2次面接の予約をした。

それで、3日後に再び電話面接したものの、今回も手ごたえはなく、そしてまた合否も保留という状態にされてしまったのだ。

向こうは何とも思っていないのだろうが、ネブラスカの病院、つくづく罪作りなことをしてくれたものだ。

もう、私の気持ちはサウスダコタの病院へ行くつもりでいた。

なのに、ギリギリで連絡がきて、ほとんどダメだろうと思うものの、行けるなら、私はサウスダコタよりもネブラスカに行きたかったのだ。

サウスダコタの病院の雰囲気は悪くなく、とにかく、こんな私でもよいと雇ってくれたのである。

喜んで嫁ぎたいところだが、何分、病院がある町が、今住んでいるモンタナの町よりも小さかったのだ。

私の生命線と機能していたCostcoがこの町にはなかった。

なければないでやっていくしかないのではあるが、半面、ネブラスカの病院がある町にはCostcoはもちろんのこと、トレーダージョーズ、ホールフーズ、日本食料品までそろっているのだ。

なので、わずかな望みでもあるのなら、ネブラスカにかけてみたかったのだ。

しかし、こんな状況なのだから現実的にならざるをえない。

せっかく出してもらえた内定を失くしてしまうことはできないので、そのまま採用のプロセス…書類の提出、信用調査、健康診断の予約などの連絡はサウスダコタの病院とすすめていた。

「冬のソナタ」の冒頭のユジンの気持ちはかくやという感じで、婚約者がいるものの、突如現れた別の男性に

心が奪われていたのである。

そうこうしているうちに1週間以上もたったのに、相変わらずネブラスカの病院からは連絡が来なかった。

サウスダコタの病院の手続きは全てすんでしまい、オリエンテーションの参加の日程を決めるところまで進んでいた。

何かと理由をつけて延長をお願いをし、人材紹介会社の担当の人をせっつくものの、合否はわからず。

この自分では待つしかなく、なす術ない状態というのは、悩ましいことこの上なかった。

とは言っても、現実的にネブラスカに行ける可能性は低かったから、サウスダコタの方へ気持ちを向けようと思い始めていた。

そんな時だった。

まさかの第3の男性が、突如として現れたのだ。

ニューオーリンズの病院のリクルーターから、何の前触れもなく、連絡が来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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