これも1年以上前の話となるが、看護学士取得のための、大学の通信教育を始めた。
さらっと書いたが、実際始めるにあたり、かなりの迷いや葛藤は存在した。
正看護師になってから、はや4年。
その間、通信教育をもっと早くやろうと思えばやれたはずだが、踏ん切りがつかずにいた。
というよりも、既に(私にとっては)大金の学生ローンにあえいでいるというのに、
その上に、決して安くはない学費を払って、看護学士をとったとしても、果たして割に合うのか?という、問いに自分で答えを出せないでいたのだ。
正看護師の学校を卒業した後。
目論みに反して、正看護師として就職するのに、大変な苦労をしたのは、過去の記事に書いたとおりである。
こんなはずじゃなかった… その4 夢破れて
就職活動で心が砕け散ったとき
その際、准看としては既に数年のキャリアがあったので、その頃からぼちぼちと条件の良い仕事の紹介がされるようになってきたのだ。
州によって規定は違うのだが、例えばニューヨーク州だと、正看の資格を取ってしまうと、准看としては働けない、といった制限が出てきてしまうのだ。
そんなわけで、正看の就職活動をしてボロボロになっていた頃、フロリダの空軍基地のクリニックでの仕事、なんてかなり美味しい案件を、准看のポストだということで、泣く泣く見送るという経験を余儀なくされたのだ。
そして、私は思ったのだ。
こんなに就職が大変だったら、果たして正看の学校に行った意味はあったのだろうか?と。
准看のままだったら、正看の学校の分のローンを負うことはなく、条件の良い仕事に就いて、良い生活を送る早道だったのではないか、と…
そうは思ってみたものの、もう既に、学校に入って卒業までしてしまったのだから、完全に後の祭である。
幸い、なんとか正看として就職することができたものの、その問いはずっと私の中に残り続けた。
教育は最善の投資である。
と、ずっと思ってたし、長らく世間全体の常識だったはずだ。
ただ日本にいた時から、今に至るまでの自分の経験。
そして、世間全体の長引く就職難から、私だけでなく、今や多くの人が、この説に対して懐疑的にならざるをえないのではないだろうか。
その頃の私は、できるなら病院で働いてみたいとは思ってたけれど、かといって、
看護学士を取得すれば確実に病院に就職できるという保証があるわけではなかったので、
さらなる借金を重ねることに気がすすまなかった。
そんな時、老人ホームの元同僚から、連絡があった。
病院に応募して、最終面接にも通り、最終選考のうちの、信用調査に元同僚として協力してほしい、という依頼だった。
彼女は私よりもだいぶ若く、フィリピン人だったが、アメリカ生まれのアメリカ育ちだったから英語も完璧だった。
ただ、私と同様、看護学士はもっていなかったので、老人ホームで働いていたのだ。
すると、彼女いわく、学士取得のためのコースを取り始めて、その旨を履歴書に書いたら、一気に話が進んだ、ということだったそうだ。
その話を聞いて、私も再び、看護学士取得に対して、考え始めるようになった。
学校を選ぶにあたっても、迷いはあった。
アメリカでは、看護学士の場合はかなり通信教育の割合が高いのだけれど、その中でも、いわゆるブランドの有名校から、無名の学校までと無数に存在する。
すでに看護師の資格をもって働いている現役の看護師向けのコースだと、4年制の看護部に入学するのとは違い、
入学試験もなければウェイティングリストもなく、応募すればたいてい入学することはでき、敷居はおおむね低い。
では、有名校と無名校の何が違うのかといえば、学費の額の差である。
有名校の場合、学費が下手すると家の1軒ぐらい買えてしまうぐらい高いのだ。
そして、期間も2,3年と、結構かかる。
有名校、と言ったが、事実は異なるかもしれない。
というのは、私の母校である正看の学校も看護学士取得のコースを新たに始めたのだが、
その学費は、家一軒買えるかもしれない値段だった。
母校のことなので、こういう言うのは心苦しいのだが、私の母校を知る人は全国的にはごく限られるだろう。
しかし、中にはやり方次第によっては、半年で40万円ほどの学費で、
看護学士が取得できてしまうという学校もあるらしいのだ。
実際には、1年で80万円かけて卒業、というのが現実的な線らしいのだが、
それでも家一件分と80万円だったら、天と地の差がある。
とはいっても、私の中で迷いがあったのは、
やはりその学校というのが、格安で通信専門ということで、世間で知れ渡っている、という点だった。
日本に比べてアメリカでは、そんなに学校のブランドで差別されるということはないものの、
生粋のアメリカ人でもその点を危惧して、その半年で40万円の学校を避けているという事例を目にしたのだ。
しかし、実際、調べてみると、その学校を卒業しても、かなりいい就職をしている看護師の事例を多くを目にした。
そうして、いよいよ、私も看護学士取得を決意することにしたのだった。
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