新しい道を探して

アメリカ看護師関連

モンタナで働き始めてほどなくして、5連休があった。
以前の記事で書いたように、周囲から隔絶された小さな町だったから、
休みでも行くところも、やることもない。
当時もガソリンも高く、車で遠出するのも気が進まなかった。
そして、飛行機のチケットも軒並み高額だった。

5日間の休みは嬉しかったけれど、正直、持て余してしまう。
しかし、5日間何もせずにこの町に留まりたくなかったので、
とにかく出かけることにした。
長距離バスで、カナダのバンクーバーへ行くことにしたのだ。

最後にバンクーバーへ行ったのは、ロックダウンが始まる直前の4年ほど前だった。
その時のことは、こちらの記事に書いた。

20年ののち 〰 バンクーバーで思ったこと

モンタナからバンクーバーまでは、18時間にも渡る長旅だった。
当然、その間、いろいろ思いめぐらすことがあった。
一つ前の記事で、ICUで働き続けることに懐疑的になってきた、と書いたが、
ここへ来て、看護師として働き続けること自体に限界を感じるようになってきてしまっていた。

かれこれ10年ほど看護師として働いてきて、これまでも嫌になったことはあっても、看護師自体をやめたい、と思ったことは初めてだった。
とはいっても、もうすぐ50になる自分に他に何か別の仕事ができるとも思えないし…

同時に、猛威を振るうインフレや治安の悪化などが、
アメリカでこのまま住み続けることへの、懸念事項となってきた。
もちろん悠々自適のリタイヤなど望めない身ではあったが、
コストの安い第三国への移住も視野に入れなければならないのだろうか…
など、漠然と思うようにもなってきた。

そんなことをつらつらと思いながら、バンクーバーに到着した。

4年ぶりのバンクーバーは相変わらずきれいで、
さらに小さな田舎町から来たので、何もかも必要なものがそろう便利さにも、圧倒された。
そして今回も思った。
この町に住みたいな。

ふと、気になって、カナダの看護免許の他国からの書き換えについて調べてみた。
以前調べたことはあったのだが、あまりにも複雑で長期に及ぶプロセスだったので、カナダの看護免許の書き換えは無理だ、と過去にはあきらめていたのだった。
なので、何故この時にまた検索してみようと思ったのかはわからない。

すると、コロナ渦を経て、状況が以前とは大きく変わっていることが判明した。
カナダ全体で、看護師の大量離職による、空前絶後の現場での人手不足に陥っていた。
そのため、看護免許の書き換えのプロセスを大幅に簡略化した、とのことだった。

特に、同じ英語圏のイギリス、アメリカ、オーストラリアとニュージーランドの看護免許の書き換えはさらに簡略ですむという。

この情報を目にして、モンタナへ帰ってすぐに、
迷うことなく、私はカナダの看護免許への書き換えの手続きに取り掛かった。
そして、とんとん拍子とはこのことか、というように、
モンタナでの任期中に、無事にカナダの看護免許を取得し、
バンクーバーの病院の内定までもらえてしまったのだった。

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