年末バイトの思い出 パン工場

日々

日本でプーだった頃、季節限定の短期バイトをよくやったものだった。

特に、年末のこの時期は、クリスマス絡み、お歳暮関連、年末年始の警備など、

1年の間で、最も単発バイトが多いのではないだろうか。

郵便局の年賀状バイトを一度しておきたかった、というのが、

私が日本で思い残していることの一つなのだが、その他の年末バイトは結構、経験したと思う。

今回は、その中で、クリスマスケーキの時期のパン工場の短期バイトについて、思い返してみたい。

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新聞の折り込みの求人チラシをみて、応募したのだが、

「クリスマス短期バイト」と銘打ってあるからには、

当然、クリスマスケーキの流れ作業に従事するのだろう、と思っていた。

しかし、22日から25日までの4日間に応募したのだが、

クリスマスケーキのラインに携わったのが、初日の22日のみで、

後は菓子パンとか、和菓子を作る部署へ回されてしまったのだった。

22日ぐらいまでが、クリスマスケーキの生産のピークのようらしく、

イブ・当日まで作っておいたのを冷凍保存するそうなのだ。

確かに、23日やイブ当日の早くにフル回転して作ったとしても、間に合うわけないのだから、納得できる。

22日のクリスマスケーキのラインは、想像していたように、かなり細分化されていて、

イチゴをのっける係、そのイチゴに粉砂糖をふる係り、箱を組み立てる係り、その箱の中にケーキを入れる係り…

といったような感じに分担されていた。

私は、ケーキの円周の3分の1ぐらいに、イチゴをのっける係りのうちの一人だった。

翌日の23日も、まだクリスマスケーキは作られていたのだけど、

結構年がいっていたり、また、若くても「こいつは使える」と見込まれてしまうと、

クリスマスケーキ以外の、通常、パン工場で製造されている製品のラインの方に回されてしまうのである。

私は使えない人間だったが、年がいっていたので、翌日は和菓子のラインで働くことになってしまった。

お饅頭をパッケージに詰めたりするような作業を主に行った。

興味深かったのは、蒸しパンやホットケーキも、和菓子と同じラインで作られていたのだ。

確かに、お饅頭も蒸しパンも蒸すわけだし、どら焼きの皮とホットケーキも工程がかなりかぶるので納得だった。

さほどきついとは思わなかったけれど、

クリスマスケーキのラインと比べて、通常の製品のラインはかなりスピードが速く感じられ、

ぼやぼやしていると、すぐに作業に遅れてしまうので、気を使った。

次の日は、クリスマスケーキではなく、

コンビニに普段から出荷している、小さなプラスティックの箱に入っている、ショートケーキを作るラインにまわされた。

私の担当は、流れてくるショートケーキを台紙の上に乗せる、という係りだった。

このように書くと、至極、単純な作業に思えるのだけど、

不器用で、反射神経の鈍い私のような人間には、なかなか大変だった。

イチゴをただのっける時と違って、作業が2つに分かれていたのである。

まず、動いているベルトコンベヤーに、台紙を正しい位置にのせなければならない。

そして、流れてくるケーキを崩さないように掴んで、その台紙にのせなければならない。

2つの作業のどちらでも、タイミングや位置ががちょっとずれただけでも、ケーキを台紙に乗せられず、流れていってしまう。

作業を始めたばかりの時、うまくできずに、何回か、ケーキが台紙にのらないまま、流れていってしまった。

私の次は、社員の人が絞り器でクリームのトッピングをする工程で、

その社員の方が、いかにも職人っぽい私の父ぐらいの年齢の男性で、

「なにやってるんだ!」と、怒鳴られてしまった。

すみません、すみません、と平謝りしつつも、

その間もケーキは休みなく流れてくるので、良くも悪くも、怒られてへこむ暇もなかった。

しばらくすると、体の方でタイミングを覚えたようで、何も考えないでも、きちんとケーキを台紙に乗せれるようになった。

しかし、とにかくクリスマスケーキのラインより、スピードが速いため、

他の工程で作業が追い付かなかったり、ケーキが崩れてしまうようなことが多々あった。

その度に、私の隣の社員の人は怒鳴り、

ちょっとでも形が崩れてしまったケーキは、容赦なく、ゴミ箱に直行するのをみて、なんだか複雑な気分だった。

その数は、結構、多かったと言っておこう。

最終日は、ドーナツ課にまわされ、そこではカレーパンなどのラインで働いた。

焦げすぎてしまったカレーパンを取り除くという作業は、苦なくこなせたが、

流れてくる棒状のドーナツを整列させるという作業が、ことのほか大変だった。

ドーナツは縦に流れてこなければいけないのだけど、

たまに横になってしまっているものがあって、それを縦に直す、という、これまた一見、単純な作業に思える。

しかし、とにかく、ベルトコンベヤーの速度がショートケーキ以上に速いので、

いくつか間に合わず、横になったままのドーナツを流してしまったりした。

きつかった4日間も、なんとか無事終わり、こうして何年もたった今でも、なかなか興味深い体験をしたよな、と思いおこせる。

昔から、工場見学が好きだったから、お金をもらって、いろいろなお菓子やパンを作る過程を見ることができたのは、良い体験だったと思う。

でも、工場見学はしたいと思うけど、またクリスマスの時期に働いてみたいか、といえば、ちょっと考えてはしまう…
 

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