前回のパン工場に引き続いて、今回はお歳暮の時期の配送センターでのバイトについて書いてみたい。
(前回)
年末バイトの思い出 パン工場
配送センターといっても、いろいろあると思うのだが、
私がバイトしたのは、大手宅配会社の都内の、かなり大きなセンターだった。
通販などの商品が、全国にここから流れていくわけであり、センター内には「xxx課」などといったように、
大手通販会社の名前の課があったりして、取扱量の多さを感じた。
これだけ大きなセンターだと、業務は多岐に渡り、2日間でいくつか違う受け持ちで、働いたと思う。
最初は、メール便の部署だった。
詳細は忘れてしまったのだけど、よくクリーニング屋さんだとかで、ハンガーにかかったシャツが流れてきたり、
またはマックのドライブスルーで袋に入れたハンバーガーを、受け取り口に運ぶ、
宙づりになっているベルトコンベヤーのようなものを見かける。
そのようなものに、封筒がつるされて、どんどん流れてくる。
それを受け取って、地域別に分別して、箱に入れていくという作業をしばらくした。
その後は、その地域別の箱を集めて、運搬用の丈夫なコンテナーに、隙間なくつめていく、という作業へと続いていった。
なんといってもメール便なので、重量などはほとんどないのだが、
それゆえ、取り扱う量が膨大で、どれだけやっても終わらないような、一種の無力感を感じた。
黙々と作業をしていたが、様々な差出人から、全国の各地のいろいろな宛先への封筒を見るのは、それなりに楽しかった。
永遠に終わりそうにないように思えたコンテナー詰めも、数時間の作業で終了し、お昼の休憩となった。
社員食堂を使ってもよかったので、暖かいうどんを頼んで、体を温めた。
他のバイトの人たちが、近くのテーブルに座ってたので、それぞれがした仕事の話をした。
その中の一人は、クール便のラインで働いたそうなのだが、いろいろ魚だとかおもしろいものを扱うのは楽しかったのだけど、
やはり寒くて、重いものも多く、ちょっときついとのことだった。
お昼休みが終わると、今度は普通の荷物の分別の担当へ回された。
最初は、ベルトコンベヤーから流れてくる荷物のラベルを読んで、
宛先別に3つに分岐するベルトに、それぞれ、荷物を流していくという係へ割り振られた。
しかし、やってみようとしたものの、動体視力が絶望的にない私。
ベルトコンベヤーの速度が、パン工場のドーナツ並みに速くて、追いついていけない。
宛先が読み取れる頃には、もう荷物を分別するのに手遅れになってしまうのだ。
これは無理だと思ったので、現場を監督する社員の人に、申し訳ないができそうにありません、と訴えた。
すると、宛先別に分岐したベルトの荷物を受け取り、コンテナーに積んでいく係の男の子と、持ち場を交換してくれた。
その時、
「女の人にはちょっときついかもしれないよ…」
との、ひとことが添えられて。
このベルトコンベヤーは私たちの所の一つだけでなく、同じようなコンベヤーが列になっていっぱい並んでいるのだ。
宛先を読む係1人と、コンテナーを詰める係3人という4人体制が、それぞれのコンベヤーのチームという感じだった。
しかし、見渡す限り、宛先を読む係は、ほぼ女性が担当していて、コンテナー担当はほとんど男性である。
不安がよぎったが、やるしかない。
宛先を読むのに比べて、業務自体をこなすことはできたのだが、とにかく警告通り、きつかった。
一番の敵は、なんといってもトロい私にとっては、ベルトの速度だった。
ぼやぼやしていると、すぐに荷物がたまっていってしまう。
また、ひとえに普通の荷物といっても、重さ、大きさはさまざまである。
また、割れ物、壊れやすいもの等も混ざっている。
それらを瞬時に判断して、なおかつ、隙間がでないように、コンテナーに詰めていかなければならないのだ。
あたかも、リアルでテトリスでもしているような、感じだった。
反射神経も鈍い私は、頭でわかっても、なかなか体がついていかず、固まってしまうようなこともあった。
そして、わざわざ、人が、宅配便で頼むようなものというのは、自分で持ち運びしたくないようなものである可能性が高い。
空港からのスーツケース宅急便とか、ミネラルウォーターの箱詰めがかなり流れてきて、
そんな重たいものを、瞬時に判断して、パズルのようにコンテナーに詰めていくというのは、
まさしく、私の持つ全ての能力を、出し切らなければできないことだった。
それまでの人生で、おそらく一番、無心に働いた瞬間ともいえよう。
そんな業務を2日目もこなし、私の配送センターでの単発バイトは終了した。
きつかったけれど、普通の荷物のコンテナー詰めは、かなりの運動量なはずだから、
しばらく続ければ痩せて、体力もつくのではとも思った。
同時に頭も使うし、反射神経もよくなりそうな気もする。
そういうわけで、たまに、また機会があったら、またやってみたいな、と思うバイトの一つである。
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