年明けの1月に、ニュージャージーからシアトルまで車で5日間かけて移動した。
過去に何度かアメリカ横断、および長距離ドライブの経験はあったが、
今回は特別だった。
…というのは、私にとって初めての冬の長距離ドライブだったからである。
以前の記事にも書いたが、1月からの仕事先をシアトルに決めた理由の一つとして、
雪のないところで過ごしたい、というのがあった。
以前のように車を持たない生活であったら、雪の降るところでも構わなかった。
しかし今となっては、車を所有して運転することになったので、
雪道での運転をできる限り避けたかったのだ。
といったわけでシアトルへ向かったわけだったが、
途中で自分がとんでもない間違いをしたことに気づいた…。
確かにシアトルでは雪は降ってないわけだが、
そこまでに至る途中が、とんでもなく険しい山道で、雪ががんがん降っている、という事実があったのだった。。。
1日目 ニュージャージーからオハイオ
この日は多少のハプニングがあったものの、比較的平穏に過ぎていった。昼前に3か月滞在したホテルをチェックアウトし、
ぎりぎりに荷物を車に積み、いざ出発した。
2日目 オハイオからミズーリ
この日から現実に直面することになった。昼間は前日同様、何ごともなく平穏に過ごせていた。
しかし日が暮れて暗くなってから、雪が降り始め、
時間がたつにつれ、吹雪となっていったのだった。
のろのろと運転していると、大型トレーラーにも追い抜かれるのだが、
その際、横殴りに雪しぶきをくらわされ、視界がふさがれるわ、
物理的衝撃を感じるわで、恐怖だった。
幸い、無事に目的地までたどり着けたわけだが、
南部のミズーリですらこのあり様なのに、今後山間部に移動するにつれて、
どうなってしまうんだろう、という一抹の不安を感じていた。
そして、その不安は見事に的中するのだった…
3日目 ミズーリからワイオミング
この日から真の恐怖が始まることになった。朝にミズーリを出発し、ネブラスカに入った頃から霧雨が降ってきた。
この日は寒く、外の気温は氷点下だった。
氷点下になっているのに、なんで雪にならないんだろう?
そう思っていると、フロントウィンドウがワイパーが動いているのに、
どんどん曇ってきた。
霧雨がフロントウィンドウをコーティングするかのように、薄い膜のようになって、
瞬間的に凍るのだ。
エアコンの曇り止めを入れてみても、効き目はなかった。
そうこうしているうちに、視界はどんどん悪くなっていたので、
停車できる場所を探して、とまった。
そしてディーラーさんが購入の際にくれた、曇り止めスプレーを使う。
このスプレーが十分な仕事をしてくれたので、視界に関してはその後問題にはならなかった。
しかし、降り続く霧雨はフロントウィンドウだけではなく、道路にも薄い氷の膜をはることになり
それがめちゃくちゃ滑りやすくなっていたのだった。
高速には速度制限が出ていて、さすがにみんな守っていた。
しかし、ブレーキの効きがとてつもなく悪くなっていて、なかなか止まらず、
何度か衝突を覚悟したほどだった。
大型トレーラーがたくさん走っている田舎道だったが、
スリップしたのか、トレーラーが横倒しになって、
道路脇の畑に落ちているのを目撃したりして、
ぞっとした。
普段は信じられない神様に祈りつつ、
生きた心地がしないまま、数時間運転し続け、
何とかその日も無事に到着した。
4日目 ワイオミングからアイダホ
この日は良いお天気でスタートしたものの、数々の山道がルート上に待ち受けていたため、
標高の高い道になれば、たいてい吹雪いていた。
しかし、昨日通った道よりも低温だったせいか、
吹雪いても、サラサラのパウダースノーだったので、
道路は比較的、滑りにくかった。
また山道続きであるということは絶景を意味するので、
相変わらず恐怖ではあるのだが、それなりに景色は楽しんだ。
この日も雪がだいぶ降ったけれど、昨日の厳しさに比べればましだった。
5日目 アイダホからオレゴン
今回ルートを選定するにあたり、Google mapが提案する最短ルートをあえて選ばなかった。最短ルートはモンタナを通って、アイダホの北部を抜け、ワシントン州の山間部を抜けていく、というルートである。
選ばなかった理由としては、数年前にやはりニュージャージーからモンタナへドライブしたことがあって、
同じ道をまた通りたくない、というのがあった。
だが、それとは別に、10年ほと前にフロリダからシアトルまでのドライブもしていて、
その時にシアトルに入る直前に、かなりの急カーブの山道が続いたということを、
忘れることができなかったからだった。
当時は夏場だったので問題はなかったが、冬の今回は絶対取りたくないルートだった。
というわけで多少時間と距離がかかっても、南に下ったオレゴンを経由するルートを取った。
しかーし。
またしても、ここで思わぬ現実にぶちあたった。
それは、オレゴンから抜けるルートもとんでもない急カーブ続きの山道だった、
という身も蓋もない現実だったのだ。。。
そしてこの日、それなりのアメリカ長距離ドライブ歴の私にしても、
初めての事態に遭遇することになった。
悪天候による事故が発生し、高速が封鎖され、
足止めをくらう、という事態にだ。
パンがなければ、菓子パンを食べればいいじゃない。
高速が使えなければ、下道を運転すればいいじゃない。
というわけで、google mapで迂回路を検索して行っているものの、
あまりの悪天候で、その下道ですら封鎖されているというありさま。。。
行けるところまで運転し、その日は当初の目的地よりもだいぶ手前の、
オレゴンの山間部の町にホテルをとった。
そして、ようやくシアトルへ
高速道路は夜遅くに開通したようだったが、そもそも封鎖になった原因の事故というのが、
大型トレーラー数台を巻き込んだ、スリップ事故だったらしい。
翌朝、天気もよくなっていて、快調に高速を運転し、
昨晩の事故が起こったというポイントまで達した。
そこで、思い知ったのだ。
そりゃあ、あの吹雪で事故にあわない方がおかしい。。。
っていうか、雪が降ってなくてもこんな道をトレーラーが通れることが狂っている!!
そんな道だったのだ。
皆さん、思い浮かべてください。
あなたの地域で、「ヘアピンカーブ」と称されている急カーブの道を。
走り屋たちのコースにされるような、頭Dなんかに出てきちゃうような、
それはそれはすごい急カーブの道を。
そんな急カーブのすぐ脇が、切り立った断崖なのだ。。。
こんな所、天気が悪くなくても夜に通らなくてよかった、と
心底ぞっとした。
というわけで、その日に無事にシアトルに到着できたわけたが、
今回のドライブは本当にタフだった。
私がそこから得た教訓というのは、
1、冬山を舐めるな!
2、google mapからでは、山道であるか、道の険しさがわからない
この2点だった。
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