話は一年以上前に遡るが、職場が変わったため、ニューヨークからニュージャージーに引っ越した。
それに伴い、生活の足として、車の購入とあいなった。
実は今回で、アメリカで車を買うのは3台目となる。
最初はまだ結婚していてグアムにいた時。
2台目は、離婚の後、カリフォルニアに引っ越した際、にだった。
半年強の間だったが、アメリカ縦横断するなど、かなり乗り回し、
いろいろ紆余曲折があった後、ニューヨークに引っ越すことが決まり、
手放したのだった。
早いもので、それから8年の月日が流れていた。
その間、レンタカーを借りたりして、何回か運転はしたことはあったので、
運転すること自体に関しては、さほど危惧はしていなかった。
ただ、ニューヨーク・ニュージャージーの市街地で運転することになる、という事実には、
かなりびびっていたのは言うまでもない。
日本で仮そめにも社会人だった時、私は自動車保険の会社で働いていた。
その際に、ニュージャージーの自動車保険料が全米一高い、という知識を得たのだ。
保険料が高いということは、それだけ事故率や盗難率などが高いことを意味する。
実際、学生時代、同級生の実家に下宿させてもらっていた時、ニュージャージーの高速を使って車通勤していたのだが、
ほぼ毎朝のように事故現場を見かけた。
単なる接触事故なんて数のうちにも入らない感じで、
路肩に見事に横転している車が寄せてあったりすることも、よくあった。
そんな感じで、以前からの知識に加え、実際の事故の多さを目にすれば、
ニュージャージーで運転することの恐怖は、否が応でも高まる。
さらに、ニュージャージーではさほどでもないが、
ニューヨーク市内だと、駐車となると縦列駐車がデフォとなっていると過言ではない。
私にとって、縦列駐車とは、「不可能」を意味し、
駐車場が縦列駐車でしかできない場合は、私にとって駐車場がないことと同じなのだ。
まず第一に、ぶっちゃっけ、車を持てる経済的余裕がなかったのではあるが、
公共交通機関が使える範囲に住んでいたこともあり、この8年間、車を持たないでもよかったし、
というか、持てたとしても上記の理由により、積極的にそうしたくはなかった。
しかし、新しい職場の立地が、たとえニュージャージーに引っ越したとしても、
車を持たないことには、日常生活がたまらなく不便になるような所だった。
というわけで、正直、気が進まないまま、アメリカ生活らしく、また車生活が再開されたのだった。
最初の一週間ぐらいは、通勤に高速を使わなければいけなかったのだけど、耐え難い恐怖を感じて、本当に苦痛だった。
学生時代、毎日のようにみかけた事故現場。
運転が下手で、注意力散漫な私が、いつ事故に巻き込まれたっておかしくはない。
ハワイで生まれて初めて、右側通行で運転するのに、いきなり高速に乗らなきゃいけなかったり。
LAに初めて着いて、レンタカーを借りて、出たらすぐに6車線の高速だったり。
過去に感じたそんな恐怖の再来だった。
固く握ったハンドルに冷や汗がにじみ、目的に無事到着すれば安堵のため息をつき…
といった感じだった。
それから現在は1年余りが過ぎ、運転もだいぶ慣れてはきたが、
縦列駐車に関しては、あと数回生まれ変わりでもしない限り、きっとできないだろう。
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