この世の中に残酷なことって、いっぱいあると思うけど、
個人的に、昔から映画やドラマのエピソードなどでみかけて、
これは本当にひどいよな、と思うのがある。
何かといえば、映画の「卒業」などに代表されるあれ、である。
結婚式の途中で花嫁をかっさらったり、
また花嫁の側が被害を受ける場合は、「ロングバケーション」のように、
新郎に結婚式をすっぽかされるという、あれである。
愛のない結婚をするより、うんたらかんたら…という意見は、
本当にどうでもよくて、私には理解できない。
せめて相手に恥をかかせないように、式はとりあえず済ますとか、
そういう最低限の思いやりを示すといったようなことが、どうしてできないのだろうか。
そして、そもそも、そういう仕打ちができるような相手なのに、
どうして結婚式をするということころまで、話をもっていったのだろうか?
…と、前置きが果てしなく長くなってしまったが、
私が病院の面接の最終面接に落ちた時、感じた思いが、
まさしくこのようなものだったのである。
手に入ると思ったものが、入らなかった絶望
正看の就職活動で、NY州でも過疎地域の病院に面接に行った経緯は、下記の記事で書いたとおりである。
こんなはずじゃなかった… その4 夢破れて
面接の感触が悪かったりしたら、私はさほどダメージを受けなかったと思う。
そんなことは、日本の就職氷河期の時から、嫌というほど経験してきたのである。
しかし、今回は、面接した主任看護師の言葉や、
過去の事例からかなり内定は確実と思われる状況がそろっていた。
もちろん、世の中に絶対なんてことはない。
しかし、これは決して棚ぼた式におとずれた幸運でなんでもなく、
そこに至るまで、本人としては必死に努力してきた結果だった。
絶対、大丈夫だと思っていたことが、
そうでなかった時に感じるほど大きなショックって、ないのではないか、と思う。
持たざる者
その病院の内定を取れなかったことに対して、さらにショックとダメージを倍増させるような事実があった。
ネットの掲示板を通じて、就職活動をする他の看護師たちと当時、情報交換をしていた。
同じニューヨークシティから、私と1日違いで、
同じ病院の面接を受けに行く新卒の正看の子と、頻繁に連絡を取り合っていた。
彼女は、面接の1週間前に、実際に病院まで行ってみたという。
その時の感想として、
「ものすごい田舎でびっくりした。仮に受かったとしても、本当に行きたいかどうかわからないかも…」
とのことだった。
彼女とは、メールやテキストのやり取りのみで、実際に会ったことはなかったのだが、
おそらく私と同世代で、結婚して子供が2人いるとのことだった。
1週間前の下見も、旦那さんの運転で家族で行ったのだという。
結果といえば、私は内定が取れず、彼女は取れた。
彼女は私と違い、4年制の学位を持っていた。
それだけの違いかもしれなかったが、私は打ちのめされてしまった。
気が進まないといってたのにもかかわらず、内定が取れた彼女。
家族、子供、と私にない他の全てを持っていて、
その上に、さらに私が欲しくて仕方なかった仕事まで得るなんて。
ナーバス・ブレイクダウン
私が内定を取れないという事実を悟ったのは、その彼女とテキストをしていた時だった。彼女の方から、テキストがあった。
「今、内定通知の電話連絡をもらったよ。あなたにも来たでしょ?」
私自身だけでなく、彼女ですら、私が内定を取れると思っていたのだった。
その時、ちょうど、職場の老人ホームに向かうバスに乗っているところだった。
目の前が真っ暗になる、という比喩って、本当なんだなと、
ショックに打ちのめされながらも、
わずかに残っている、自分の中の客観的な部分が思ったことをおぼえている。
真っ暗になった後は、一転して、
ただただショックで、頭の中が真っ白になったような気がした。
鼓動が速くなっていた。
とりあえず、彼女には祝福と、
自分は連絡をもらっていない、と返信した。
彼女が電話の向こうで気まずくなっているのが伝わってきたが、
私としてもどうしようもない。
「連絡が遅れているだけかも」
と、私が彼女の立場だったら、
言わざるえないような返信があったと思う。
茫然自失としながら職場にたどり着き、
病院からの、信用調査の回答をしてくれた上司に鉢合わせた。
彼女も、私が内定を取れると思っていたから、
「どう、病院から連絡来た?」
と、笑顔で話しかけてきた。
その笑顔をみて、
もう自分をコントロールすることができず、私は泣き出してしまった。
びっくりしている上司に謝りながら、
取れると思っていた内定が取れなかったと、告げた。
その日は、それから普通通り業務をこなした。
そして、しばらく、毎日出勤できたものの、
トラウマから立ち直れない、闇の時期を過ごすことになったのだ。
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言霊の会
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