暗黒時代だった高校生活の後で、大学へ進学すると、いろいろな面で両親と距離を置けるようになったので、
心身ともにだいぶ楽になった。
遅れてきた青春時代を謳歌するかのように、大学時代の4年を過ごした後に、
待っていたのは新たな挫折だった。
過去記事に書いたように、就職氷河期にぶち当たったのだ。
こんなはずじゃなかった… その1~第一次就職氷河期
私と両親の問題の根源は何かといえば、金銭問題に行きつく。
何かにつけ、お前には金がかかりすぎる、と言われる。
お小遣いももらえず、親戚からもらったお年玉も巻き上げられる。
なのに自分の見栄から私立の高校へ入れさせられ、学費を出し渋る。
そんな滅茶苦茶な親だった。
大学の学費は自分で払うことになってしまったのだが、奨学金を得ることはできなかった。
なぜかといえば、両親の収入が基準よりも高かったからだった…
つまり、払おうと思えば払えるお金を、私に出し渋ってきたわけなのだ。
そんな両親から独立して生きていくためには、
良い大学を出て、良い就職をしなければならない。
そう思って大学受験を頑張り、それなりの大学に進学することができた。
しかし思惑ははずれ、一般職でしか就職できず、
しかも早々に退職することになり、以降、ブラック企業を渡り歩き、
非正規雇用の道を歩むことになってしまったのだ。
挫折感と屈辱感でいっぱいで、こんな状況から逃げ出したくて仕方なかった。
しかし自分には日本を出る手段も資金もなく、とどまるしかなかった。
そんな中、ワーキングホリデーという制度を知ることになる。
この制度を使えば十分な資金がなくても、海外へ行けるチャンスがある。
間もなくして9.11が起こり、それが自分の背中を押すことになった。
ちょうどその時に働いていた会社が高層ビルにあったこともあり、
自分がいつ死ぬかはわからない、
ならば自分のやりたいことは、待たずにしなければ。
そんな風に思い、カナダへ旅立つことになったのだ。
転換期
大学時代も遅れてきた青春時代だったが、カナダでの生活も、さらに人生での最良の時を過ごせることができた。
友人にも恵まれ、日本で感じ続けてきた疎外感も感じずにすんだ。
ようやく自分の居場所を見つけることができたと思い、
そんなカナダにずっととどまりたいと思った。
ワーキングホリデーは1年しか有効期限がないので、
労働ビザをとるべく、あらゆる努力をした。
しかし結果はかなわず、失意のうちに日本へ帰国することになってしまった。
カナダで出会ったセラピストさんに何度も相談し、
自分でできるセラピーに当時は依存しきって生きていた。
占いなどでは、
「時期を待ちなさい」とか、
「最良のタイミングで最良の結果が訪れる」
なんてメッセージを受け取る。
しかし、なぜここまで自分の人生がことごとく上手くいかないのかの
説明として納得することは、できなかった。
以降、ありとあらゆるセラピー・占いに答えを求めて試し続けることになった。
答えを求め続け
カナダに戻りたくても戻れない、どうにもならない日々の中、友達にアメリカ人男性を紹介され、遠距離恋愛の末に結婚することになった。
そこから新たな生活が始まるわけだったが、困難だらけの結婚生活だった。
幸せになりたくて努力したけど、
私のこれまでの人生がそうしても上手くいかなったように、
結婚生活にも見事に失敗した。
散々、精神的、財政的に傷ついた後、
結婚生活を終わらせた。
ぼろぼろだったけれど、
この時は、新しい幸せな家族を得ることを諦めていなかった。
自分の両親、別れた旦那。
彼らといて、自分はとても不幸だった。
だからこそ、心安らぐあたたかい、
幸せな新しい家族がほしかった。
もういい歳で、その時は赤ちゃんがほしいと思っていたから、
離婚したばかりだったけれど、一日も早く良い出会いがあればいいと思っていた。
そのためには、とにもかくにも自分が自立していくために、
よい仕事を得なければ。
そう思って頑張ったけれども、またしても景気が悪くなったり、
タイミングが悪く、看護師にもなったのに、ろくな就職ができなかった。
セラピーを続けたり、自己啓発の本をたくさん読んだりして、
ある程度の癒しを得ることはできていたけど、
とうてい心の平安には達していなかった。
他人と比較して、仕事も家族も子供も持っていない自分が、
とんでもなく負け犬で、惨めで仕方がなかった。
そんな気持ちがだいぶ和らいだのは、
ようやく欲しくてたまらなかった、
でも半ば諦めていた、
病院への就職ができた時だった。
それ以降、心穏やかに過ごすことができ、
あまり自分と他人を比較することをしなくなった。
いかに自分が就職に関して挫折感をこれまで持ち続けていたのか、
というのを、まざまざと思い知らされた。
時を同じくして、とある本とTVドラマを通じて、
一種の悟りのような経験をすることになったが、
これはまた別記事にあげたい。
そんな中、以前の記事に書いたNYのカリスマセラピストさんのセッションを受け、
長時間の飛行機の移動の後の、さらに長距離のドライブをしている時に、
それは訪れた。
とあるモンタナでの思い出
いつも思っていた。
なんで自分は普通に就職できないんだろう?
なんで幸せな家庭が持てないんだろう?
仕事は得ることができた…
それでだいぶ満足している自分がいる。
だけど、出会いを得て新しい家族を持つのは…。
そこで、私は悟ってしまった。
なぜ、なかなか良い出会いにも恵まれず、
これまで子供を持つことがなかったのか。
それは、自分が望んでいなかったからだった。
両親との関係にあまりにも、あまりにも自分は傷ついていて、
自らの家族を作って、それを繰り返すようなことはしたくなかったのだ、と。
新しい家族を持って自らを癒していくより、
自分の代でこの不幸を終わらすことを、
潜在意識レベルでは望んでいた、というのを実感したのだ。
私がこれまでもがきながら、
数々のセラピーセッション、占いを通じて、
求めていた答えは、これだったのだ。
長旅の疲れで、半分意識は朦朧としていたが、
これが自分の求めていた答えだ、と感じたのをおぼえている。
それは以前に一度味わった、
恍惚感を伴うような悟りの瞬間では決してなかった。
むしろ、身も蓋もない、陰鬱な真実だといってもいい。
しかし、とにもかくにも、それが自分が求めていた答えに他ならず、
以降、私は心の平安を得ることができたのだった。
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