しばらく前の記事で書いたように、
ホリデーシーズンの憂鬱
感謝祭当日、私は出勤だった。
幸い、今年は残業のお願いや、休日出勤の依頼は受けていなくて、ほっとしていたところだった。
体調もあまり思わしくなく、もともと根性がなくて、無理ができないタイプなので、
今週末の出勤に備えて、仕事が終わったら何もしないでゆっくりしよう、と考えていた。
出勤後、3時間がたつまでは。
今の職場では、私は中番の午後3時から夜の11時までのシフトを中心に働いている。
ちょうど患者さんたちが夕ご飯をすまし、夕方に飲む薬を配っている頃に、上司の主任看護師がやってきた。
「ねえ、Cutepine、今晩3人看護師が足りなくなっちゃったの。遅番も残ってくれないかしら?」
まあ、これは想定内もいいところで、言われるだろうな、と覚悟していたことだった。
家族もペットもいないので、子供の送り迎えや餌やりの心配などもないから、
こうして急な残業の依頼にも、かなり頻繁に応じている。
しかし、現在の職場は通勤に片道1時間半強かかるため、依頼を受けるにあたり、常に1つの条件があった。
「次の日の出勤をキャンセルしてくれること」
遅番で働くと、仕事が終わって家に帰るのはだいたい朝の9時近くになってしまう。
それから、朝食をとって、お風呂に入ったりすると、なんだかんだと10時過ぎに。
仮に、その日に3時から始まる中番に戻る場合は、家を1時過ぎに出なければならず、
そうなると、12時には仮眠から目覚めなければならない。
大丈夫な人には2時間の仮眠でも充分なのかもしれないが、
私は一回それで出勤して、死にそうな思いを味わったので、
以降、絶対やらないことにしている。
それで今回、私は感謝祭の次の日はもとからお休みになっていた。
特に予定などはなかったけれど、先に書いたように、体調が悪かった。
「いいですよ…だけど、私、明日たまたま休みなんですけど、
夜勤明けだと一日休めなくて疲れが取れないんです。
なので、次の日の土曜日をお休みにしてくれたら、今晩残りますよ」
「まあ、それはよくわかるのだけど、週末でさらに、次の土曜日って感謝祭明じゃない?
いつにもまして人が足りないのよ。なんとか頑張って出てくれない?」
実はいうと、これもかなり言われるだろうな、と覚悟していたセリフだった。
もちろん祝日に人手が足りなくなるのは、毎年当たり前だから、
前もって頼まれていたら、私の方でも、それに向けて体調を整えて準備もしようものだった。
しかし、最近、新しい看護師を雇ったときいたりしていたので、
人手が足りてるのかな、と思ってしまったのだ。
さらに、今週もすでに2回も土壇場の残業を引き受けており、
それも誰も働きたがらない、過酷な病棟だったため、
それが今感じてる体調の悪さと疲れの原因となっていたのだった。
感謝祭前後に、人手が足りてないと知っていたなら、
その時の残業は辞退していたのに。
「…私もお役にたちたいところなんですけど、体調がよくないんですよ。
ここで無理しちゃうと、来週以降欠勤しなきゃいけなくなっちゃうかもしれなくて…」
例の過酷な病棟への残業を依頼したのは、まさにその主任だったので、
私の言わんとすることは、彼女もわかっていた。
「…わかったわ。じゃあ、ちょっと土曜日に代わりに人がみつかるかどうか調べてみるから、
その時にまた返事をちょうだいね」
ということで、事務所に戻っていった。
彼女は決して悪い上司でもなく、むしろ私の歴代の上司の中ではいい方の部類に入るのだが、
こうして人員調整をするのが仕事なので、
無理を通さなければいけない時はそうしなければいけないのである。
1時間後ぐらいに、主任が内線で事務所から電話をかけてきた。
「Cutepine、あなた明日休みだって言ってたけど、予定表に名前がのっているわよ。
でも、土曜日はお休みになってるんだけど」
「えー、またですか」
口頭で言われたならともかく、私は2週間ごとに紙に印刷されたスケジュールをもらっている。
そこには感謝祭翌日の金曜日は休みで、土曜日は出勤とはっきりと書いてある。
なのに、こういったことが起こる。
それも私が上司に返した言葉にあるように、これまで何度も起こっているのである。
間違いや、他の人が急に休みをとったりすることもあるので、
スケジュールが変更になるのはいた仕方ないことだ。
それならそうと知らせてくれれば、こちらも不都合がなければ受け入れるし、問題もない。
しかし、決して知らされることがなくスケジュールが変更され、
ある日出勤してみれば、「なんで今日来てるの?」と言われ、
休日にくつろいでいようものなら、
「Cutepine! 1時間も遅刻してて、連絡もないってどういうことなの」
なんて電話がかかってきたりるのだ。
日本だったら、全く考えられないことだが、
アメリカの職場でも、これは最悪に近いケースだと思う。
他の看護施設で、スケジュール担当の人がこれぐらいのミスをしていてくびになっていたけど、
ここの担当の人は働き続けている。
若い女の子なのだが、コネ入社かなにかなのだろうかとしか、考えられない。
それで結局、私は感謝祭の夜番を残業することにした。
次の日は16時間勤務明けだから、もちろん休みにするし、
土曜日も、そちらのバージョンのスケジュール表に名前がのってないというのなら、
なら堂々と休ませていただきましょう、ということで。
無事、夜勤をすませ、家に戻り、いつものように朝ごはんとお風呂をすませて仮眠をとった。
目が覚めて、電話をチェックしてみたら、着信履歴がすごいことになっていた。
留守電も数件、入っていて、あまり気が進まなかったけれど、聞いてみれば、
主任の悲壮な声のメッセージが入っていた。
なんでも、私がメインで働いている病棟に看護師が一人しか確保できず、
無理を承知のお願いだが、働きに来てくれないだろうか、という内容だった。
ちなみに、普段は3人の看護師が働いている病棟である。
体調が悪くなかったら、引き受けてもよかったけれど、
16時間勤務が続いていて、本当に私は疲れていた。
着信があってからすでに数時間が過ぎて、
シフト自体が終わるような時間だったので、
主任には悪いと思いつつ、「寝てて電話とれなくてごめんなさい」コールをした。
こうして、依頼にNOと言わなければならないのは、
私に限らず、多くの人にとってストレスだと思う。
肉体的な疲れを感じるとともに、祝日の日はこうした気疲れを感じることが多いのだ。
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