トラベルナース~初仕事を終えて

アメリカ看護師関連

前回の記事で、念願かなってトラベルナースの初仕事を始めたものの、
実務に必要なシステムにログインできないまま、2週間が過ぎた、ということを書いた。

トラベルナース~トラブル続きの初仕事

こういう場合は仕事にならないので、その日は帰されるものと覚悟した。

私のせいでは全くないのだが、このような場合、もちろん給料も払われず、
丸損する羽目になるのだ。

しかーし、マネージャーに、それでも働け、と言われたのだ。

Sponsored Link


看護師がシステムにアクセスできないというのは、
言うならば、板前さんに包丁なしで魚をさばけ、と言うようなくらい、
無茶なことなのだ。

(もちろん、システム自体が落ちたり、メンテナンスの時などもあり、
そうやって全体的にシステムが使えない場合は、もちろんマニュアルの従来ながらの紙面での
処理をすることになります。
しかし、今回のように私個人だけの問題なら、その限りではないのです)

それで、私はマネージャーにたずねた。

「システムにログインできずに、どうやって働けばいいんですか?」

他の看護師にかわりにログインしてもらいなさい、と。

これは、まあ、ある意味現実的な解決策のように見える。

しかし、ぶっちゃけ、これはかなり非常識なことなのだ。

ここは、訴訟社会のアメリカである。

万が一、医療ミスなどがあったりして、裁判沙汰になった場合は、
こうしてシステムにログインした記録が、証拠となってしまう。

あくまでも記録が全てであり、
例えば私、Cutepine、が実際には間違った薬を患者さんに与えてしまったとする。

でも、先輩のメアリーさんにシステムにログインしてもらった場合は、
私ではなく、メアリーさんの過失ということになってしまうのだ。

もちろん、そんなこと私なんかより、マネージャーがよく知っているはずなのに、
他の看護師にログインしてもらえ、なんて言うのが信じがたい気分だった。

自分だけが割をくうならまだしも、他の看護師に迷惑をかける可能性もあるというのは、
私的には絶対に受け入れられなかった。

というわけで断固、拒否した。

首になることも覚悟したが、結局その日は看護師としてではなく、
オムツをかえるなどの看護助手の仕事をするのはどうか、ということを
提案された。

私としては全く異論がなく、その日は看護助手として働き、
しかもお給料は看護師として働くのと同じ額がもらえた。

結局、私が無事にシステムにログインでき、
まともに看護師として働けるようになったのは、3週目になってからだった…

その3週間は、本当に苦しかった。

できることなら、この職場はすっぱりやめて、
別の仕事を始めたかった。

しかし、向こうから首にされるわけではなく、
私の方から辞める場合、派遣会社と病院のブラックリストに載ってしまうそうなのだ。

トラベルナースとして何年も働いていて、実績がある看護師ならまだしも、
私にとっては、まさに初仕事なのだ。

これで早々にブラックリストに載ってしまえば、
不可能ではないにしろ、次の仕事を見つけるのは、
極めて困難になるだろう。

トラベルナースを始めるとき、
ニューオーリンズの辛い職場を2年間耐えることができたのだから、
3か月の契約期間なんて、いくらでも我慢できるだろう、なんて思っていた。

しかし、開始しょっぱなから想定外の、
そもそも実務を開始できない、なんてトラブルには、どう対処してよいのかわからなかった。

そんな時、普通だったら間に入ってくれる派遣会社が、全く助けてくれなかったのだ。

怒りと絶望の中、助けてくれたのはSNSのトラベルナースのフォーラムだった。

ネット上で、ブラックリストなどのことを教えてもらったり、
この事態にどう対処すればよいのかと、いろいろアドバイスをしてもらえた。

私が他の看護師にログインしてもらうのを断ったのは、正しい、と言ってもらえて
ほっとしたのをおぼえている。

そして、私の派遣会社とその担当が全く動かないというのはありえない、
と皆に言われた。

私としては2つの選択肢があった。

1、ブラックリストに載りたくないので、このまま契約が終わるまで耐え忍ぶ

2、トラベルナースとしてはもう働けなくなる可能性もあるけど、ここで辞めてしまう

結局、私は1を選んだ。

前に書いたように、3週目からはログインできて、普通に仕事はできるようになった。

しかし、最初にとてつもないダメージがあって、3週間を極限のストレスの中で過ごしたのだ。

職場、派遣会社に対する不信感は拭えることなく、沈んだ気持ちのまま、3か月を過ごすことになってしまった。

3か月の契約が終わった時点で、問題だらけだった派遣会社とは縁を切り、
口コミの評判がよい別の派遣会社と契約を結び、次の仕事先へ向かうことになったのだ。

コメント