昨年は、出会い系サイトで詐欺にあいそうになったのだが、
アメリカの出会い系サイトで詐欺にあいそうになったこと (前編)
アメリカの出会い系サイトで詐欺にあいそうになったこと (後編)
実は、数年前、就職詐欺にも、あいそうになったことがあったのだ。
それはいつのことだったかといえば、私が准看護学校を卒業して、就職活動に苦しんでいた時だった。
こんなはずじゃなかった… その2 まさかの苦戦!准看護師の就職活動
准看の仕事はもちろんのこと、当時は、ありとあらゆる職種の仕事に手あたり次第、応募していた。
どこに応募したかなんて、把握しておらず、またそれでも、全然、不都合なことはなかった。
というのは、応募数に比べて、反応が返ってくることが少なく、
というか、ほとんどなかったので、余裕で対応できていたのだ。
そんなある日のこと、1通のメールが舞い込んできた。
差出人は、スペインに住む司祭か、司教だかの神父さんだった。
彼が、2週間後に、出張でニューヨークのカトリックの教会に来て、しばらく滞在することになる。
その際、彼の高齢の母親を同伴する。
母親は、しっかりしているし、簡単な英語も話せる。
ただ、何分、高齢なので、滞在中、誰か側にいて、簡単な世話をしてくれる人を探している。
私の履歴書をネットの応募でみかけた。
もし、興味があるようだったら、改めて履歴書を送りなおしてもらえないか…
と、そんな内容だった。
なぜ私に?
と、思ったけど、とにかく反応があったことが嬉しくて、怪しいとは思わなかった。
指示通り、履歴書をメールすると、次の日に、私は他の数人の候補者とともに採用された、と返事が来た。
面接もなにもなくての採用だったので、嬉しかったものの、実感は全くわかない。
ただ、神父さんとその母親の自己紹介や、業務内容などの、とても詳細で丁寧なメールが来たので、怪しいとは感じなかった。
ニューヨークの滞在先の住所や、スペインの電話番号も添えられていて、疑問な点があれば、いつでも連絡してくれと、あった。
そもそも、その時点で、怪しいと思ってないわけだから、そうした情報もいちいち確認することもなかった。
神父さんがニューヨークに来る1週間前になった時、現金書留を送る、という連絡があった。
額は30万円ほどで、母親のニューヨーク滞在にかかるもろもろの費用にということだった。
まず、その30万円のうち、7万円を私の給料の前金として、受け取って欲しいとのことだった。
残りの23万円を、ニューヨークの教会の人の銀行口座に振り込んでくれ、とのこと。
ここでも怪しいとは思わず、逆に、前金で7万円ももらえるなんて、なんて気前がいいのだろう、と思った。
現金書留は宅配便で送られたのだが、不在だったため、受け取ることができなかった。
日本と違って、こちらの場合、再配達の手配はとても面倒で、スムーズには行かないのだ。
配送センターに取りに行こうと思ったものの、かなり遠い所にあって、
当時していたバイトが終わってからだと、営業時間外になってしまう。
悩んだ末、宅配業者の営業所の一つに転送してもらい、それを受け取りに行く、という方法を選んだ。
しかし、それだと、2営業日後、になってしまうとのことだった。
神父さんは、手続きの関係で、現金書留が到着次第、教会の人へ振り込んでもらう必要がある、と言っていた。
なので、間に合わなかったらどうしよう、と思って、スペインの電話番号に国際電話をしてみた。
しかし、通じたものの、ずっと呼び出し音が鳴って、留守電のメッセージにつながることもなかったので、切った。
仕方なく、メールで事情を説明した。
すると、仕方がないので、とにかく受け取り次第、振り込んでもらえれば問題ない、とのことだった。
2日後、営業所にピックアップしに行く前、念のため、ちゃんと届いているかどうか、ネットで追跡番号を確認してみた。
すると、営業所には届いておらず、現金書留はいまだ配送センターにあった。
怒りと、とまどいとともに、宅配業者の問い合わせ先に電話する。
今日、営業所に届くように手配したのに、なぜ、まだ配送センターにあるのだ?
と、問い詰めてみても、アメリカでこういうことが起こった場合、ほとんどの場合、利用者が泣き寝入りするしかないのだ。
手配されていなかった…の1点張りを、通されるだけだった。
とにかく、電話をかけた時は配送センターが閉まっている時間だったので、どうにもならない。
次の日、配送センターまで取りに行くしかない。
神父さんに対して、とても申し訳なく思い、再び連絡した。
すると、とにかく仕方がないので、受け取り次第、早急に処理してくれ、との返事だった。
ここで、初めて、違和感をおぼえた。
最初に指示がきたメールは、とにかく手続きをするのがぎりぎりなので、
一刻も早く、ニューヨークの教会に振り込む必要があるので、よろしく頼む、とあったのだ。
その割には、振り込みの予定日が過ぎても、まったく、焦りも、困っているような感じも伝わってこなかったのだった。
だいたい、教会の関連の人なら、なぜ、神父さんが直接送らないのか?
という、これまで思うことなかった、当たり前の疑問が初めて浮かんできたのだ。
どうしても、間に合わせなければいけないのなら、なにも現金書留を送るという不確実な方法をとらず、
海外送金でもした方がよっぽど速く、安全である。
だいたい、一度も会ったことのない私を、なぜここまで信頼できるのか?
ここにきてようやく、怪しいと思えたのだ。
そして、Googleで検索してみると、同じようなケースが出てくるわ、出てくるわ。
中には、実際、被害に遭われて、大金を失ってしまったという人の体験談もあって、
気の毒に思いつつも、戦慄した。
あと少しで、私だって、だまされるところだったのだ。
この話を、後ほど人に話して、よく言われるのが、
「…それで、どこが詐欺になるの? だって、自分がたてかえたわけじゃないし、しかも7万円もらえたかもしれないんでしょ?」
詐欺のからくりは、こういうことである。
私が30万円の現金書留を受け取り、それを自分の銀行口座に入れ、現金化する。
その後、23万円を他の人に振り込んだとしよう。
その現金書留は、偽造されたものなのだ。
しかし、それが判明するのは、預けたその場ではなく、数日以上たってからになってしまう。
仮に、私が30万円全額を、まだ自分の口座にとどめているなら、
偽物の現金書留とわかった時点で、30万円が口座からキャンセルされるだけだ。
しかし、私がそこから23万円を送金してしまった場合は、その分を、私が弁償する責任がある。
当然、書留を偽造したのと、送金を受け取る側はつながっているわけで、
送金され次第、口座を閉め、とんずらするという構図だ。
私がだまされそうになったのは、もう5年以上前にもなるけど、
この記事を書く前に、再びググってみると、最近でも、同じような事例が絶えずに起こっているようで、暗澹たる気持ちになった。
私の場合は、介護職だったけど、他にも営業事務、秘書、在宅勤務など、
いろいろな職種で、同様の手口の詐欺が繰り広げられていたのだ。
お金がある人に対してならともかく、
仕事が欲しくて仕方ない人の足元をみて、つけこむのは本当に許せないと思う。
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