30代後半で学校に戻って 〰 准看護学校(前編)

NY

24時間、365日の仕事に就いて(後編)で書いたように、

日系会社をリストラされ、ほぼ勢いのような感じで、准看の学校の試験を受けたら合格してしまった。

正直、自分でついていけるかどうかは全く自信がなかった。

それまで短期間、語学学校に行ったり、カナダでヘルパー養成の専門学校に半年通ったことはあったけれど、

フルタイムでネイティブの人と混ざって学校に行ったという経験がなかったからだ。

 

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不安に思いながらも、入学の日は着々と迫っていた。

通学

学校は、隣の州のニュージャージーにあった。

といっても、東京から大宮に行くような感じで、公共交通機関でちゃんと行ける範囲だった。

しかし、さすがに本当に東京から大宮に行くほど便利ではなく、地下鉄とバスを乗り継いで、片道2時間ぐらいかかってしまっていた。

そして学校の始業時間が、なんと朝の7時半からだったのだ。

当時住んでいたアパートから計算して、朝の5時前に家を出なければいけないことになった。

朝が苦手な私…大丈夫だろうか?

制服

なんと、アラフォーになって、再び毎日制服で通学ということになってしまった。

どんな制服だったかというと、真っ白な上下。

上は学校のロゴ入りの襟付きの半そでシャツ。下はシンプルな白ズボンだった。

それに白い靴着用が義務付けられ、汚いニューヨークの町をそれで歩くのは、かなりしんどかった。

コインランドリー利用者としては、洗濯するのも手間がかかって大変だった。

毎週がテスト

授業は先に述べたように朝の7時半から始まり、午後4時に終わる。

1学期が4か月で、だいたい2科目ずつそれぞれの学期に振り分けられていた。

最初の1か月目は、看護基礎と解剖学だった。

毎週、何らかの小テスト、中間テスト、期末テストなどがあり、

60%以上の得点率が義務づけられていた。

複数回、60%をとれないと、その時点で落第決定と、結構シビアだった。

厳しい

学期の途中でも、落第させられることもあり、

さらに、いくら順調でも最後の期末試験に失敗すると、そこで落第してしまうケースもあった。

(期末試験の比重が最終の成績決定においてかなり高いため)

また、出席率に対してもかなり厳しく、いかなる事情においても、学期中3回欠席してしまっていたら、落第決定ということになっていた。

私のクラスメートでも、成績がよかった生徒なのに、娘さんの病気で3回以上授業を休んでしまって、

あえなく落第させられていて、本当に厳しいんだな、と感じたものだ。

落第するとどうなるのか?

またその学期を繰り返し受講するということになる。

ただ、日本と違って、一年に何回も入学の時期があるので、

たいていは落ちてすぐだとか、3か月待ちぐらいでまたスタートすることができる。

そうはいっても、再受講の分もまるまる支払わなければならず、

その場合は政府の学生ローンは適用対象外となってしまうので、

懐具合があまりよくない生徒にとってはかなり厳しい。

そして、お金を払えば何回でも落第できるというわけでもなく、

学校によるのだが、この時の学校は3回までと決まっていて、

3回以上落第してしまったらもうその学校を辞めなければいけなくなってしまってしまうのだ。

しかし、当然、それまでの学費は払わなければならない、という厳しい現実が待っている…

魔の2学期

1学期目は一クラス40人ぐらいのうち3名が脱落しただけですんだ。

しかし、2学期は「魔の2学期」と呼ばれていて、なんとクラスの3分の一が落第ということになってしまったのだ。

まるで高校のよう

制服を着て、40人が机に並んで朝の7時から午後3時まで授業を受ける…

これって、まるで中学・高校のようで、本当にそんな感じだった。

もちろん、年齢層もばらばらだし、人種、文化も全く違う40人が集まっている。
だけど、毎日、長時間を一緒に過ごし、苦楽をともにした仲間として、短期間とはいえ、深い絆を持つことができ、

これまで本格的な留学経験がなかった私にはとても貴重な体験だった。

特に私は他の記事で書いたように、中高時代は半登校拒否の非リア充だったので、

失った中高時代を取り戻せたようで、ありがたかった。

そして、女子校に密かに憧れていたのだけど、私のクラスには2人しか男子がいなかったので、

これもかなり女子校気分が味わえて、長年の夢をかなえてもらえた気がした。

実習はなあなあ

日本の看護学校ではかなり看護実習が厳しいようなのだが、

アメリカの看護学校は全般的に、かなり実習がゆるいような感じがする。

というか、実習に行っても見学が中心で、自分たちでやらせてもらえることがほとんどないのだ。

これは本当にゆゆしき事態だと思うのだけれど、

実習地の病院や施設の方があまり学生に患者さんを触って欲しくないという事情があるのだ。

下手に不慣れな学生が患者さんに施術して、万が一のことがあって、訴えられたらたまったもんじゃない、ということなのだ。

まあ、わからなくもないのだが、それなら全く実習の意味がない。

でも、それがまかり通ってしまっているのが、アメリカの看護学校の現状なのだ。

卒業試験と国家試験

三学期も無事終えると、卒業試験を受けることになる。

この卒業試験がかなり難しくて、一発で合格するのは、私が在籍していた当時は半分に満たなかった。

この卒業試験は国家試験の模擬試験のようなものだが、本番に万全に備えるということなのか、実際よりも難しくできている気がする。

だけれど、これに受からないと卒業できず、よって国家試験も受けれないのである。

1年2か月

私は、なんとか途中落第することなく1年2か月でストレートに卒業することができた。

日本の大学受験や、資格試験の勉強を経験してきたが、

自分の生涯の中で、これほど時間をかけて勉強したことはなかっただろう、というぐらい勉強した。

准看の学校の1年2か月は恐ろしく忙しく、そして充実した時間だった。

 

 

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