昨年9月。
ニューオーリンズでの仕事が無事に終了し、
休暇と野暮用を足すのを兼ねて、日本に短期帰国した。
そして再びアメリカへ戻ってきた時に、それは起こった。
乗り継したシカゴの空港でだった。
ターミナル間を移動するシャトルバスへ乗り込もうとする、まさにその瞬間だった。
歩道と車道の段差が通常よりもかなりあって、
なおかつ帰省のために、たくさんの荷物を抱えていた。
想定外の段差に気づかず、空港バスに乗ろうとしたところ、
私はバランスを崩し、見事にこけた。
その際、右足をとんでもないくらいくじいた。
今では、くじいた、と言えるのだが、
その時は、骨折したのではないか、と思った。
あまりのショックと痛みで、私は叫んでたと思う。
そして自分一人では立ち上がることができず、
シャトルバスと空港スタッフの方、二人がかりに抱えられ、
歩道の方に退避させられた。
シャトルバスは私をおいて出発し、
私は歩道で、右足首の痛みに顔をゆがめていた。
空港スタッフの方が、どうやら救急手当の心得がある方だったみたいで、
私の右足を点検して、
「大丈夫、多分骨折はしてないよ」
と言ってくれた。
それで、歩道から、肩を抱えられ、ターミナルの中のベンチまで連れて行ってくれた。
もう一人のスタッフの方が、私の荷物を運んでくれた。
乗ろうとした飛行機はいつ出発するのか、と聞かれ、
あと2時間後だ、と答えると、じゃあ大丈夫だね、と言われた。
助けてくれたお礼を言わせてもらい、スタッフの方は去っていった。
さて、荷物とともにベンチに残されたあと、これから一人でこの状況に対処しなければならなかった。
その時、これから私はシカゴからニューオーリンズまで戻らなければならず、
日本から帰ってきたのと別の飛行機会社だったから、チェックインをしなければならなかった。
そうはいっても、痛みもあって半分ショック状態だったから、すぐに動くことはできなかった。
恐る恐る、くじいた右足首を見てみるものの、やばいぐらいに腫れていた。
もちろん、くじいた箇所もとても痛かったのだが、反対の左側の膝をこけた時に激しくすりむいており、
その時はそちらの方が、その時がヒリヒリとして痛かったのを覚えている。
さて、看護師のはしくれとして、こうした場合は腫れた個所を冷やさなければならない、
とはわかっていた。
空港の売店で、何か冷やせるものはないかどうか探してみて、
袋に入った棒アイスを買ってみた。
早速、棒アイスを患部にあて、持っていた痛み止めを飲む。
乗り換えの飛行機を逃さないためには、今、別のターミナルへチェックインに行かなければならない。
この時点だと、びっこをひけば荷物を持ってもなんとか歩けたので、
胃を決して、再び空港バスへと向かう。
今回は無事にこけずに、バスに乗ることができ、
ニューオーリンズへ帰る飛行機のターミナルに着いた。
大きな荷物を抱えて、びっこをひいて歩くさまは、
思ったよりもケガをしているような感じに見えた。
そのせいか、チェックインカウンターの係員の方に、
大丈夫ですか、と聞かれ、事情を話す。
何かできることはないか、と言ってくれたけど、
特に思い当たることはなかった。
実はこの時、私は仕事を辞めていたから、
健康保険がない状態だった。
市販の痛み止めが効いて、なんとか歩ける状態だったから、
病院へ行くことは考えられなかった。
友人が以前にやはりひどい捻挫をして、
かなり強い痛み止めを処方され、
数日は松葉杖をついていたのを覚えている。
万が一、骨折していたらどうしよう、と不安もあったが、
当座はなんとか頑張るしかなかった。
荷物をチェックインをすると、身も心もだいぶ楽になった。
不幸中の幸いで、その時は空港ラウンジを利用することができた。
ラウンジで、飲み物用の氷を持っていたジップロックに入れ、
とにかく患部を冷やす。
何回か氷を交換して、搭乗ぎりぎりまでラウンジにいた後に、
飛行機へむかった。
そして無事にニューオーリンズへ着いたのだが、
さて、そしたらそれで、また乗り越えなければならない壁があった。
ニューオーリンズからニューヨークまで、一人で車を運転して
帰らなければならなかったのだ。
まず思ったのが、果たしてくじいた右足でアクセルとブレーキを踏むことができるのだろうか…
というのだったが、これはあっさりできることが判明したのだった。
アクセルを踏むような、足を下へ向ける動きは全く問題なくできた。
ただ、反対に足をそるような、上へ向けるような動きをしようとすると、
とんでもない痛みがきて、とてもできなかった。
またしても不幸中の幸いで、運転には足をそるような動きは必要なかったから、
なんとかニューオーリンズを出発することができ、
3日間かけてニューヨークまで無事に到着することができた。
足を上に向けられない、と書いたがそれができないと何で困るかというのが、
わかって意外だった。
なんと、階段を降りるのが大変なのだ。
階段に着地する時に、それまでは思ったこともなかったのだが、
足が上に向くのだ。
普段は圧倒的に階段は登る方が辛かったのに、
足をくじいた時は、降りる方が辛く、時間がかかろうとは、
実際その状態に置かれるまで、思ってもみなかったことだった。
それから約4か月たった今、
結局一度も病院へ行かないまま、ほぼ全快して、
階段は問題なく降りれるのはもちろんのこと、
走ったり、ジャンプなどができるようになった。
その間、の具体的な経過や、
どんな対策をしたかは、長くなってしまったので、
次の記事で書かせてもらいたい。
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